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町静展 出品作品5 [作品]

今日はタブローの続きとその他を紹介してゆきます。


目録No.6 発砲 2013年 アクリル、キャンバス 530×455mm
発砲(縮小版).JPG
発砲したい衝動、別に誰かを狙撃するわけではなく、ただドカンと一発打ち放したい欲求というのは多くの人の中にあるのではないでしょうか。作中の人は手が大砲、または銃になっています。尻尾もあり、地球の人間ではないようです。架空の世界だからこそ街中での発砲も派手に出来ます。私はこうやってストレスを解消しているのかもしれません。


目録No.8 宇宙の子牛 2013年 アクリル・砂、キャンバス 530×455mm
宇宙の子牛 縮小版.JPG
宇宙の、という割には雲が浮いていて適当ですが、あくまでもイメージです。この作品の子牛の部分に採用したおつゆ描きが役立って、「発砲」や以下に紹介する「立てる男」などが生まれました。おつゆ描きとはその名の通り、絵具をたくさんの水で溶くことによって、滲みや微妙な濃淡を生もうとする技法です。奈良美智さんの作品などは一見簡単に塗っているようにも見えますが、実際は一度塗った色の上に、水をたくさん使って薄めた絵具をかぶせて色を調整しています。


目録No.8 木の猫 2011年 455×530mm アクリル・石膏、キャンバス
町静.jpg
第29回ザ・チョイス年度賞入賞作。大橋歩さんがこれを選んで下さったおかげで、現在の交友関係があると言えます。近年のタブローの全てがここから始まっており、キャンバスに描いて仕上げたのも初めての作品だったのにも関わらず、このたった一枚が私の生活環境を変えました。当時私は黒い猫が宇宙からやって来て、一人の画家の運命を変えてしまうという内容の変な小説をブログに連載していました(いまも消していません)が、書いているうちに現実が小説の通りになり、戸惑って現在は未完のままストップしています。「人はその人の考えていることの結果である」ということを身をもって体験しました。とにかくこの絵は作者にとっても実に不思議な作品なのです。現在は所有者がいて、今回は非売品として出品しています。


目録No.9 エウロパ、私はまだここにいるのだ 2013年 アクリル・石膏・砂、キャンバス727×606mm
エウロパ、私はまだここにいるのだ  縮小版.JPG
木星の衛星、エウロパには生命がある可能性が高いと言われてきました。映画「2010年」でも、モノリスからのメッセージに「宇宙を自由に開拓して良いが、エウロパは除く、エウロパに着陸を試みてはならない」とあります。私は常々、自分はなぜ地球にいるのかとても疑問だったので、地球外というところにとても関心があります。描くという孤独な作業の中では、ときどき「こんな変わった絵を描くのは、自分が地球外から来たからにちがいない」という感覚に陥ります。そういうとき、エウロパにいる存在の声が聞こえるような気がするのです。


目録No.10 立てる男 2013年 アクリル・石膏・砂、キャンバス 910×727mm
立てる男(縮小版).JPG
ボクシングは子供の時から好きで、よく具志堅用高の防衛戦などを見ていました。この絵も最初はボクサーを描くつもりではなかったのですが、構図上の面白さから手にグローブをはめてみました。するとボクサーがよろよろと立ちあがったような感じになったので、「立てる男」としたのです。あまり強そうではないことも気に入っています。また、大きさもかなりあるため、今回の展示の中心的存在となりました。見る人が見れば面白い絵、自分の中に「絵とは、芸術とはこういうもの」という観念が出来上がってしまっている人には単に変な絵、ということになりましょう。絵の成り立ち、私という人間を含めて、吟味して頂ければ、この絵の面白さも伝わると思いますが、とかく世の中ゆっくりと絵を鑑賞するだけの素質を持った人、あるいは心のゆとりのある人は少なくなりました。「生きること=あくせく働くこと」という公式が日本の99パーセントの人々の中にあるようです。搾取の歴史の中にあり、さらに敗戦を経験したために完全に価値観が物質至上主義に固まってしまいました。しかし、現在社会に適合できないような若い人たちのなかに、逆に私は可能性を見ています。彼らはこの世界がおかしい、変だということをはじめから見破っているのです。この世界を支配している層には、この世界は都合よく出来ていますが、彼らが何をしようと逆に世界を混乱させるだけでしょう。しかしいわゆる不適合者が現実を直視した上で、打ちのめされた上でなお、彼らとしてあり続けるときには、世界は変わると私は見ています。


目録No.11 横向きの猫 2013年 アクリル、キャンバス 180×140mm
横向きの猫 縮小版.jpg
小品ですがやたらと時間をかけています。描いている中でこれは何なのかということを考えます。それが猫に見えれば猫ということにします。私はシュールレアリスムで言えば、オートマティズムという、自動的に描くという方法から始めていますから、出だしは何を描くか決めていないことがほとんどです。最近では構図が決まればそれに沿って仕上げていくことが多くなりましたが、今後また仕上がりの予測不可能な制作方法に移って行くかもしれません。


目録No.12 ブラインドの向こうの男 2013年 アクリル、キャンバス 350×270mm
ブラインドの向こうの男 縮小版ー.JPG
構造的興味から制作したものですが、仕上がってみるとブラインドの向こうに見える人の姿に見えてきたので、このタイトルをつけました。一見デジタルな感じに見えると、人から言われましたが、筆で時間をかけて塗り込んでいます。こういうのは古くはモンドリアン、ライリーだとか、オノサト・トシノブなどがあげられると思いますが、もちろんどれも私の主題ではなく、あくまでも実験であり通過点です。しかし作品としてはボックス額に入れたところ、飾って頂いて美しく、楽しめるものになっていると思います。大きさも比較的コンパクトで飾りやすいと思います。


目録No.13 無題 2007年 アクリル・コラージュ、ダンボール 178×320mm
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版画をやっていたころから比べると、ここが変化点になっていると言えます。鮮やかな色彩、複雑な描き込み、そのプロトタイプとして、ダンボールに着彩したものですが、愛着があったので特注額に入れてあります。


目録No.14 君は蝶をつかまえた 2008年 アクリル・写真・コラージュ、紙 
※小品ですが額一体型作品で撮影が難しい上、個人様の所蔵品ですので、もう私の手元になく、今回はアップしません。


目録No.15 秋の庭 2007年 アクリル・コラージュ、紙 530×645mm
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No.13の「無題」という作品の延長にありますが、大きさが大きいです。完全な抽象に近いと思いますが、雰囲気として秋の庭を思わせるので、このタイトルです。こういった作品が、タブローの「立てる男」他の作品の中で行ったことと相まって、今後新しい作品となって現われて来ると思っています。多くの人は前はこういう絵を描いていたのに、どうして今はこういう絵なのですか?というようなことを聞いてきたりします。画家は一つのスタイルを描くものだと思っているようですが、私には変化する必要、経験する必要があるのです。


目録No.16 月のみやげ 2007年 アクリル・モルタル・コラージュ、板
※こちらは手元にありますが、額一体型作品で、撮影がうまく出来ません。月で拾って来たかのような岩石的な作品を標本箱に入れたような作品で、結構面白いものですが、アップはしません。


目録No.17 Hand 1986年 リノカット
※現存する最古の私の作品であり、高校生のころのもの。今回特殊なスペースが空いたので、展示しましたが、撮影する気もなくアップもしません。

目録No.18 陰陽 1987年 アクリル他、ダンボール
※これも最古の作品のひとつですが、上記と同じくアップはしません。


以上が目録のラインナップでした。次回は、番外ではありますが、今回の展示のために描きおろしたフォトスタンドアートというのがありましたので、そちらを紹介してみたいと思います。

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